グローバルな都市、便利で安全な都市ってなんだろう? 都市の「今」を、自分の足を使って探ってみた。

東京オリンピック・パラリンピックを控え、グローバル化が進む日本。インターネットやテクノロジーの進化によって私たちの暮らしがますます便利になっているといいます。しかしそれは街で暮らす高齢者にとってどのように映っており、ましてや今の若者が高齢者になった時に、街はどのように進化しているのでしょうか。ライター・長橋 諒が実際に街を歩き、確かめてみることにしました。

プロフィール

写真 渡邊 恵太

長橋諒(フリーライター)

1989年生まれ、東京都昭島市出身。服飾専門学校を卒業後、都内の古着店で販売員として勤務。その後Web系編集プロダクションに入社。現在はフリーライターとして活動中。代表作に「【初詣ベビーカー論争】ベビーカーについて良く知らないから、押しながら都内を歩いてみた」など。

初めまして。フリーライターの長橋です。

2020年開催のオリンピック・パラリンピックを控え、東京の街は日に日に進化し、便利になってきている――。テレビやネットで、このようなニュースを目にする機会が増えています。首都圏に限らず、日本のどの街もさまざまなテクノロジーや技術を導入し、世の中は未来に向けてどんどん動いているようです。確かに渋谷の街など、行くたびに大きなビルや建設されていたり、駅が変わっていたりします。

さらに、最近だと人工知能(AI)や仮想通貨なんていう言葉も目にするようになりましたが、それら現代のテクノロジーは街で暮らす人にとって本当に便利になっているのでしょうか。

たとえ便利になっているとしても、それは世の中の全員、特にお年寄りも平等に感じているのでしょうか。

頭の悪い僕には、よくわかりません。

ということで今回は、この衣装キットを装着して現代の街を歩き、検証をしてみることにしました。

この衣装キットは、「高齢者疑似体験教材」なるもの。

筋骨格、視覚、聴覚などの老化による高齢者の身体的機能変化や、心理的変化を擬似体験できる医療・看護・福祉関連の教育に最適な体験学習教材として開発されたものらしいですが、これを着用すると、擬似的に高齢者の世界を体験できるらしいのです。

ベストには約4kgの重りが入っており……

手首・足首にはそれぞれ関節が動きにくくなるサポーターと重りを付けて……

目も耳も、お年寄りに近づけます。(視界が狭くなり、耳が聞こえづらくなる)

こうして20代の僕が、ものの5分で80代のおじいさんになることができました。これには浦島太郎もビックリでしょう。

それではこの格好で、現代の街を歩いて便利なところ・危険なところを確かめに行こうと思います。ちなみにこの状態だと視界は正面しか見えず、耳も聞こえづらく、体全体が重いので思うように動けません。

ですが、しっかり検証をするため、合計約7kgの重りをつけて歩くのは、結構マジでしんどいですが、いくらキツくても弱音は吐かずに行ってきます。体は20代なので。

注:万が一事故が起こらないように、常にスタッフが同行しています。

検証開始。「20代のお年寄り」から見た銀座の街とは?

今回は銀座で調査をすることに。
電車に乗って、銀座の街へ到着です。

電車に乗っていた際、目的駅の所要時間やホームにある階段の位置が電車内でわかるのって、改めて便利になったなと感じました。普段電車に乗っている時に「トレインビジョン」を見るのは当たり前になりましたが、耳が聞こえにくいと次の到着駅のアナウンスが聞こえづらいのです。また、満員電車で画面が遠いと、見づらいかもしれないという不安も残りました。

改札を通る際も、人混みをかき分けなければならないことに「混んでて歩きづらいな……」と不安を感じました。また、ポケットから切符やICカードを取り出す際、焦って落としてしまう高齢者もいるのかも。

【リンク】三菱電機トレインビジョンについてはこちら

また、ホームから改札、改札から出口までのエレベーターは、本当にあってよかったなと。だって階段、マジでしんどいですもん。膝はあまり曲がらないし、体が重くてキツイし……。エレベーターは必要としている方に積極的に譲るべき、そう身をもって感じました。そして、未来のエレベーターはもっと進化しているといいな。駅のエレベーター、ちょっとスピードがゆっくり気味なので。

大都会 銀座ですが、万が一、道に迷っても安心。スマホのマップアプリで地図を確認できるからです。視界が狭くても画面を拡大できるので、見にくいところも簡単に確認できました。最新のテクノロジーは便利です!

と思って歩いていると、かなりささいな段差、というか坂に躓きました。(本当に転びそうになった)
視界が狭いと足元まで見えないので、このような障害物に気づけないのです。缶のゴミとかあったらマジで危ない。そして大きな段差はもっと怖い。たぶん死ぬ。

景色を見ながら、ゆっくり銀座の街中を散策します。銀座はいろんな人がいるなあ。

もちろん景色ばかりを見ていてもいけません。信号の付いていない横断歩道は、車が接近してきていないかをしっかり確認する必要があります。音も聞こえづらいので、ちゃんと目視が必要なのです。急に車が来ても、とっさの動きはとれません。

「信号が付いている横断歩道は安心!」と思っていても要注意。横や前から自転車が飛び出してくる可能性もあるのです。特に車通りが多い道で、車のかげから出てくる自転車は本当に怖い。自転車乗る時マジで気をつけようと思った。

そして、人混みを掻き分けて行くのもかなりしんどい。杖が人にぶつかってしまいそうになる。若者に「邪魔!」って言われそうで怖い。でもムカついても走って追っかけることはできない。

結果、20分〜30分ほど街を歩くだけで、かなり疲れたのでした。(慣れていない、っていうのもあるかもしれませんが)

喉が渇いたと思って自販機でジュースを買ったら、取り口からジュースを取る際に膝を曲げるのが辛いのでした。そして、視界が狭いので何を選べばいいのか分かりづらい……。こんな苦労、考えたことなかった。

というわけで、「お年寄り」になって銀座の街を体験してみました。

のですが……

お年寄り、めっちゃ辛い。

最新テクノロジーもっと頑張れ! もっと街を便利にして!

もちろん、多くの人が集まり、東京の顔ともいえる銀座は老若男女が楽しめる素晴らしい街です。しかし、実際にお年寄りの目線になって見てみると「もっとこうだったらいいのに」、「便利だけど、もっと進化したらいいな」などと思える点があったのです。

20〜30分歩いていただけでこのように感じてしまったくらいなので、一日中歩いてたら、かなりのストレスが溜まりそうです。(慣れていない、っていうのもあると思いますが!)

散策中、歩いていた外国の方が"変な日本人がいる"とばかりに写真を撮って握手を求めに近寄って来ました。ついでに道を尋ねられたのですが、僕は全く英語がしゃべれないので、内容もちゃんと聞き取れず、もちろん道を教えてあげることもできませんでした。この格好でオシャレタウン銀座を歩くことよりも、英語がしゃべれないことにちょっと恥ずかしさを感じてしまいました。

「お年寄りを体験してみて辛かったこと」まとめ

  1. 耳が聞こえにくいと、電車内のアナウンスが聞こえづらい。
  2. かなりささいな段差にすらつまずく。缶のゴミとかほぼ地雷みたいなもん。
  3. 信号の付いていない横断歩道は危険。信号がついていても、視界が狭いので車道から飛び出してくる自転車に気づかない場合も。
  4. 街中や駅の改札など、人混みを掻き分けて歩くのはしんどい。
  5. 20分〜30分ほど街を歩くだけで、かなり疲れる。

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